あの有名人も学習障害!?でも学習障害って何?

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「勉強が苦手。どうしても教科書を集中して読めない。」

「算数は特に苦手で計算がよくできない。」

「字を書くのがものすごく大変。漢字の書き取りは1ページに1時間もかかってしまう。」

もしかしたら、それらは学習障害の症状かもしれません。

けれど障害を持っていても、ハリウッドスターになった人もいるのです。

みなさんもよくご存知の方です。

それは、・・・・

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「ミッション・インポッシブル」

「レインマン」

など、数々のハリウッド映画に出演している

トム・クルーズさんです。

彼は、自分自身が学習障害の一つ「読字障害」であることを公表しています。

読むことがとても難しいため、映画の台詞を覚える時には、テープに録音して繰り返し繰り返し聞くことで台詞を覚えていたそうです。

 

そもそも、学習障害って何?

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学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。

英語では

Learning Disability、Learning Disorder, Learning Dificulties

などと呼ばれ、LDと略されることが多いです。

最近では、SLDとも呼ばれ、「限局性学習症/限局性学習障害」と呼ばれることがあります。

学習障害(LD)について、文部科学省は以下のように定義しています。

基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm

 

アメリカの精神医学会で出されている診断基準DSM-5では、学習障害について次のように書かれています。

 学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の症状の少なくとも1つが存在し、少なくとも6ヶ月間持続していることで明らかになる:

  1. 不的確または速度が遅く、努力を要する読字(例:単語を間違ってまたゆっくりとためらいがちに音読する、しばしば言葉を当てずっぽうに言う、言葉を発音することの困難さをもつ)
  2. 読んでいるものの意味を理解することの困難さ(例:文章を正確に読む場合があるが、読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解していないかもしれない)
  3. 綴字の困難さ(例:母音や子因を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりするかもしれない)
  4. 書字表出の困難さ(例:文章の中で複数の文法または句読点の間違いをする、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない)
  5. 数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ(例:数字、その大小、および関係の理解に乏しい、1桁の足し算を行うのに同級生がやるように数字的事実を思い浮かべるのではなく指を折って数える、算術計算の途中で迷ってしまい方法を変更するかもしれない)
  6. 数学的推論の困難さ(例:定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難である)

診断基準 (DSM-5 「限局性学習症/限局性学習障害(Specific Learning Disorder)」より

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日本における学習障害の割合を示すものとして一番近いものは、障害者白書内にある「児童生徒の困難の状況」調査だと言われています。

その調査の結果、「知的発達に遅れはないものの学習面で著しい困難を表す児童生徒の割合」は4.5%でした。つまり、ひとクラス30人いる場合、1〜2人が学習障害の可能性があるということです。

これは、科学的な調査ではなく、統計的に正しい情報とは言えませんが、現場の教師の体感としてはこのくらいの割合になるのでしょう。

 

有名人にもいる!?学習障害の種類は?

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それでは主な学習障害について詳しく見ていきましょう。

学習障害の種類は主に
・読字障害(ディスレクシア)・・・読みの困難
・書字表出障害(ディスグラフィア)・・・書きの困難
・算数障害(ディスカリキュリア)・・・算数、推論の困難
の3つに分類されます。

 

学習障害の一つ「読字障害(ディスレクシア)」

日本では読字障害(ディスレクシア)の割合を示す統計は発表されていません。

つまりその分、読字障害の人の発見が遅れており、必要な支援が届いていない可能性が大いにあるということです。

日本語にはひらがな・カタカナ・漢字、さらに近年は英語も入ってきています。そのためか、詳細な発現率は分かっていません。

さらに、知的な遅れが伴わないことや、海外に比べると日本は読字障害の認知度が低いことから、大人になるまで気づかないままの人もいます。

 

ここで、学習障害を持っていても、それを物ともせず活躍している日本人を紹介します。

松谷知直さんです。

詳しくはこちらの動画をどうぞ。

Never give up on learning by yourself | Tomonao Matsuya | TEDxKids@Chiyoda

 

松谷知直さん経歴

熊本生まれの奈良育ち。現在、奈良市内の中学校に通う中学1年生、13歳。
小学1年生の時に、読み・書き・計算に著しい困難があることがわかる。
小学2年生の時に、DO-ITJapanプログラムのジュニアスカラーに採用される。そこでiPadと、同じような困難を抱える仲間たちと出会った。そして、iPadと仲間たちとの衝撃的な出会いにインスパイアされて、夏休みの自由研究で「僕の読み書き」についてまとめる。
その年の秋、その自由研究に心打たれた教員、研究者、支援機器開発者が中心となって、障害支援を考え、支援者をつなげる集まり「なんとカンファレンス」が開催される。自らも実行委員のひとりとして活動に参加している。
自らの経験を元に、誰もが自由に学び方を選べる社会を提案した「選べることでなくなるバリア」で第36回「少年の主張」奈良県大会で優秀賞受賞。
これまで、兵庫教育大学、奈良教育大学、大阪市教育委員会などでのプレゼンテーション、NHK「バリバラ」、他NHK、民放のニュース等に出演するなど、当事者として、読み書きの困難についての啓発活動を行っている。

 

学習障害の一つ「書字表出障害(ディスグラフィア)」

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書字表出障害(ディスグラフィア)の子どもは、同年齢の小児に比して、また知能のわりに、字を書いて文章を作ることが苦手です。綴り方や句読法、書字、文章の構成が不得意で、教えられてもなかなか上手に書くことができません。よく先生に「宿題の漢字くらい丁寧に書きなさい!」「適当に書くんじゃない!」などと言われてしまうような子ども達です。

そういった経験を多くもつ書字表出障害の子どもは自己肯定感が低くなりがちで、自信を喪失しやすいです。他の学習障害にも言えますが、その他の発達障害とも合併することもあります。

 

主な学習障害の一つ「算数障害(ディスカリキュリア)」

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算数における計算や、筋道立てて考え、答えにたどり着く推論が、知的な能力と比べ、著しく苦手な状況を指します。先に出てきた、アメリカの精神医学会から出されているDSM-5が、現在の国際的基準になっています。DSM-5には、算数障害について次のようにあります。

DSM-5 による算数の学習障害

算数に障害のある特異的学習障害(Specific Learning Disorder with impairment in mathematics)

①数感覚(Number sense):数量概念

②数的事実の記憶(Memorization of arithmetic fact):暗算

③正確で流暢な計算(accurate or fluent calculation):筆算

④正確な数学的推論(accurate math reasoning):文章題

この4つの領域に困難さがあることで、学校では「努力不足だ」と捉えられたり、「やる気がない」と言われたりしてしまいます。

本人の意思とは関係がないところで、傷ついてしまっている人が日本には約4.5%いるということです。

 

学習障害チェック項目

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自分自身やお子さんが学習障害かどうか、確かめたい場合は、以下のチェック項目が参考になります。

  1. 数字を見て,正しく数詞を言うことができない(読 み)。
  2. 数詞を聞いて,正しく数字を書くことができない (書き)。
  3. 具体物を見てそれを操作(計数するなど)して,その数を数字や数詞として表すことができない。 数概念 (序数性)
  4. 小さい方から「1,2,3,・・・」と数詞を連続して正しく 言うことができない(目安として 120 くらいまで)。
  5. 自分が並んでいる列の何番目か言い当てることが できない。 数概念 (基数性) あるいは 数量感覚
  6.  四捨五入が理解できない。
  7.  数直線が理解できない。
  8.  多数桁の数の割り算において,答えとなる概数が たてられない。 計算 (暗算)
  9.  簡単な足し算・引き算の暗算に時間がかかる。
  10.  九九の範囲のかけ算・割り算の暗算に時間がかか る。 計算 (筆算)
  11.  多数桁の数の足し算・引き算において,繰り上が り・繰り下がりを間違える。
  12.  多数桁の数のかけ算において,かけたり・足した りの途中計算を混乱したり,適切な位の場所に答 えを書くところで間違える。
  13.  多数桁の数の割り算において,答えの書き方や適 切な位の場所に答えを書くところで間違える。 文章題
  14.  文章題の内容を視覚的なイメージにつなげられ ず,絵や図にすることができない。
  15.  答えを導き出すための数式が立てられない。

計算や推論の困難に関する気づきの項目 (日本 LD 学会研究委員会(2014)などhttp://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/70/70-17-20.pdf

 

ご自分でチェックしてみて、項目が多いようならば、専門の病院に行くことをお勧めします。

ただ、多くの方は病院に行くことはなかなかないと思います。

学習障害という障害もまだまだ日本ではあまり聞きませんし、専門のお医者さんも少ないと言われています。

学習障害を持つ人への適切で十分な支援ができていないことは、日本の教育の大きな課題です。

 

学習障害かもしれない・・・けれどどうすればいいの??

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実は、学習障害に対する決定的有効策はまだ解明されていません。

障害の内容が多岐にわたり、一人一人に応じたサポートシステムが確立されていないのです。

LD専門の訓練士も不足している現状のようです。

……それから課題の一つに目の輻輳機能などの問題があります。欧米では、ディスレクシアの検査をするときに、必ずオプトメトリストが関わり ます。オプトメトリストというのは日本であえていえば視能訓練士ですが、日本の視能訓練士とは仕事の質というか内容が違います。 特に学習障害について訓練されたエジュケーショナル・オプトメトリストの方々が、最初に左右の目の機能が合っているかとか、左右の目を 使って焦点を合わせて見られるかどうかなどを検査します。実は先ほどの物が二重にダブって見えるとか動いて見えるという子どもたちの 中には、この目の輻輳機能を鍛えることで、ダブって見えなくなる子もいます。要するにLDと診断される子のなかにはちゃんと授業で見えて いない子どもたちもいるわけです。ところが残念ながら日本の場合にはこのオプトメトリストがほとんどいません。 つまり目の機能不全を確認できないままLDではと思われている子がいるということになります。

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/symp20080112/kouen2.html

日本ではLDに関する研究と情報の普及はまだ進んでいないと言えるようです。

しかし、参考として一つのモデルを紹介します。

RTIモデルと呼ばれる支援モデルです。

RTI(Response To Intervention)モデルは、学習上のつまずきが見られる子どもに対して、徐々に指導・支援を行います。

その反応を測ることにより、どのような支援が必要なのか(もしくは必要ではないのか)を客観的に判断していく診断モデルのことです。

RTIモデルでは、通常3層構造の教育的介入・支援が想定されています。

第1段階では、通常学級においてすべての子どもを対象に、質の高い指導を実施します。

障害の有無にかかわらず、すべての子どもを対象とします。

ここで成長において期待される伸びが見られない場合、通常学級での指導に加え、第2段階に進みます。

第2段階として補足・補充的な支援が追加されます。

(欧米ではここでも科学的な根拠に基づく指導を行っています。)

それでも期待される伸びが見られない場合には、これらに加えて第3段階として個別的な支援を追加します。

徐々に支援を追加しながら、子どもにとってどのような支援が必要なのかを客観的に判断していきます。

階層が増えていくにつれて、子どもへの個別性は高まっていきます。

第一段階には85%前後の子ども、第二層には14〜15%の子ども、第3層には1〜2%の子どもがいるという研究結果が出されているようです。

欧米の学校では、第2層や3層にICT機器を取り入れ、視覚的・聴覚的支援も重点的に入れています。

子どものつまづきに合わせて、内容を変更することもでき、柔軟な教育が可能となっています。

 

まとめ

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

学習障害とはそもそも何か。

学習障害を持っている有名人。

学習障害の種類。

学習障害に有効な支援モデル

について紹介してきました。

 

日本でも学習障害への理解が広まり研究が進むことで、多くの子ども達が救われるといいですね。

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